四国秘蔵の安藤

ベネッセのアートアイランド(直島、豊島、犬島)は、日本で最も人気がある旅先の一つとして選ばれており、四国が誇る最大の観光名所であると言っても過言ではありません。このような主張がもてはやされるのには、もっともな理由があります。これらの島々では、最先端の現代芸術と建築物とが空想的に混ざり合い、それらが島周辺の自然と継ぎ目なく絡み合っています。ギャラリーを訪れることそのものが、夢のような情景に歩み入ることのようであり、芸術作品は、否応なしに観る人々に静かな物思いを誘います。
しかし、今や瀬戸内国際芸術祭の開催が迫ってきているので、おそらくそのような静かな物思いは、人々の雑踏に遮られてしまうことでしょう。がっかりしないでください。四国には、直島からおよそ一時間ほどの場所に、余り良く知られていないギャラリーがあります。それは、芸術と自然を融合させようという、直島と同じ主義に則って建てられたギャラリーです。
四国村ギャラリーは、直島の四つの卓越した美術館(地中美術館、ベネッセハウスミュージアム、李禹煥美術館、自らを独自に回顧するANDO MUSEUM)を手掛けたのと同じ建築家である、安藤忠雄により設計されました。公的な教育は全く受けていないながら、安藤は建築コンテストに受賞し、その経歴は飛躍しました。安藤はその仕事に、基礎とする規則を何も持たず、規則を破壊し、建築の限界を押し広げます。そして、その中に展示される作品と同じくらい、幻想的な建物を創造するのです。
自然界からインスピレーションを得ながら、安藤は周辺に溶け込む建築物を創造することを目指します。四国村ギャラリーもその例外ではありません。屋島の中腹の森の中に佇むこのギャラリーは、突然どこからともなくその姿を現します。木立の並びがまばらになり、イノシシ用の罠がよりはっきり見えるようになると、ギャラリーの狭い入口を完璧に縁取る植生の庭に向って、ぱっと視界が開けます。安藤の建築物は、そのトレードマークであるコンクリートで建てられているため、その入口よりも堅牢なものであり、より抑圧的でもあります。このギャラリーの空間は、山に潜ったり突き出たりしながら、丘陵をうねりながら下り、森の中に沈み、それでもなお、その輝かしい存在感を仄めかしています。内部は狭く長く、洞窟のようでありながら、居心地が良いのです。ある一側面に敷き詰められた巨大なガラス窓を通し、外の自然界が屋内に押し入ってきます。
しかしこの建築プロジェクトの真骨頂は、水景庭園であることに間違いありません。前側からは隠れているため、そこに足を踏み入れると、人々は衝撃を受けます。見渡す限り一面に平らに流れる水、それは水田の灌漑、山腹、そして自然そのものを模しています。安藤はしばしば大きな水の広がりで建築物を囲い、その鋭い角を反射させ、人工の構造物が地面と出会う線をぼかします。特に安藤の建築物を訪ねることが目的で香川に旅行するのでしたら、四国村ギャラリーを見逃さないようにしてください。というのは、直島の美術館は、いずれも水を特徴としたものではないからです。たとえ建築に魅了されてこの国のこの場所に訪れたのではないのだとしても、それでもなおこのギャラリーを訪れることを是非お薦めします。それは、展示物が移り変わる驚くべき美しい空間です。屋島の風光明媚な景観を背景とするその美しい建築物は、アートアイランドが成し遂げようと努めているのと同じように、芸術と自然の最高の具現化をその見所としています。四国最高の秘密である四国村ギャラリーは、トップの観光地よりも静かではあるでしょうが、それと同じくらいご来観の価値があることでしょう。

 

 

 

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